カマキリのカマさん 安らかに

数日前の朝、愛犬2匹を連れて散歩に出た時のこと。

歩いていたその道の真ん中で、目に鮮やかなきれいな緑色をしたカマキリが、仰向けにひっくり返っていた。

「あれれ。ひっくり返っちゃてる。車が通ったその風に飛ばされでもしたのかな」

近づいて見てみると、動いていない。

「えっ、死んじゃってるの?」

指で足に触れてみたら、かなり激しく手足を動かした。

「わっ、よかったよかった。びっくりしたー」

そっとカマキリをひっくり返し、本来の姿勢に戻してあげたら

すぐにひょいひょい歩き出すかとおもいきや、じっとしている。

「カマさん、だめだめ。こんな道の真ん中にいたんじゃ、車に轢かれちゃう」

走り出すかと思って背中を少し押してみたけど、のんびり足を動かしただけ。

「あーん、もう、本当に轢かれる!」

そう思ってカマさんをティッシュでふんわりくるみ、道路の隅に移動させた。そして予定に遅れそうになった私は、足早にその場を後にした。

けれど、なぜか翌日そのカマさんが気になった。夕方からは雨。

(ちゃんと移動できてるよね・・・)

やっぱりどうも気になり、今朝再び愛犬の散歩でその道を通ってみた。

(まさか、いないよね)

道路の隅に緑色のものが見えた。

(嘘・・・)

あのカマさんだった。

目が真っ黒になり、お腹も茶色くなり横になっていた。もう死んでいると思った。

その瞬間酷い罪の意識に見舞われた。

「カマさん、具合が悪かったんだね。気づかなくてごめん」

なぜ緑の多い土の上に置いてあげなかったのか、雨風がしのげる場所に運んであげなかったのか。

とてつもなく悔やまれた。

(せめてこんなところじゃなくて・・・)

そう思って横たわったカマさんの体に触れた。

すると、カマさんは手足をゆっくり動かした。

生きていた。

(丸2日間も。ここで孤独に苦しい思いをしてたなんて)

なんだか泣けてきた。

周囲に土がある場所を探し、紫陽花の木の下に運んだ。

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その場で体をしっかり支えた姿勢になったカマさんは、だんだんと動かなくなった。

そっと背中をさすっても、もう何も反応はなかった。

カマさんを道の片隅におきざりにした罪悪感は、カマさんを看取ることでは相殺されなかったけれど、最期にかけた私の言葉がカマさんの耳に届いたとしたら、それがせめてもの救いだと思った。

カマさん、ごめんね。そして、どうか安らかに。

カマさんのこと、忘れないから。

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永森咲希

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2016年11月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : admin