後藤哲也先生のプロフィール
1991 東京大学医学部卒業
(東大附属病院分院、都立築地産院、
国立習志野病院)
高度生殖医療施設
医学博士(生殖遺伝学)
体外受精施設

(↑ 先生も私も、若かった・・・)
年齢的には43歳くらいまででしょう。時期としては、1年間の体外受精治療において1度も胚盤胞ができず、その原因が卵巣機能(卵子の力)にあると思われる方は、その後の妊娠はかなり難しいと思います。しかし、妊娠、出産経験のある方や、原因が男性側にある方では、もう少し頑張ってみることもあります。
患者さんがそれまでの治療について十分に理解しているか、また夫婦間で十分に話し合っているか、卵子提供・精子提供などの選択肢について考えたことがあるか、その後の子供のいない生活について具体的な想像ができているか等々、ある程度時間をかけながら、少しずつ終結に向けた話をしていくようにしています。
ドクターには話しづらい、質問しづらいという患者さんからの意見をよく耳にしますが、先生は患者さんと向き合う時間についてどのように考えておられますか。
私は、患者さんとはできるだけ落ち着いた環境の中で、ゆっくりと話をするように心がけています。患者さんも遠慮せずに、必要なら転院し、話しやすいドクターを見つけるべきではないでしょうか。
まずは、きちんとそれぞれの患者さんと向き合って、話を聞くことではないでしょうか。そして、検査、治療について説明し、治療のロードマップをきちんと示します。患者さんはいつも、「自分は妊娠できるのだろうか」という不安を抱えながら治療を続けているんだという事をよく理解し、おしつけがましくなく、また不十分にならないよう、「寄り添う」姿勢が重要だと思っています。「必要な時にはいつもあなたのそばにいます」という思いが伝わるといいんですけどね。
必要だと思います。しかし、実際にカウンセリングを希望する患者さんは多くありません。おそらく、カウンセリングがどのようなものか分からないからではないでしょうか。もう少し、具体的な啓蒙活動が必要かもしれませんね。
情報を提供する必要はあると思いますが、医師から話を切り出すことが良いかどうかはわかりません。精子提供や卵子提供もそうですが、医師から話す場合には、それが誘導や圧力ととられないような配慮が必要でしょう。
私は、楽しいことも辛いことも、人生の中で起こる全てのことは、その人の人生において何か意味があると考えています。不妊という辛い経験をされ、子供をあきらめるという選択をせざるを得なかった方も、その後の人生に対して消極的にならないで欲しい、そう思います。

「患者さんが治療を振り返った時に、『一緒に全力で戦ってくれた医師がいた』と思ってもらえるように努力したい」そう仰った後藤先生は、8年前の、どんな生徒に対しても丁寧で優しいお兄さんのような先生のままでした。
「このクリニックでダメなら諦める」
そんな風に思っていいただけたらいいよね。
by 永森咲希
